近頃ネットでは電通の新入社員が、入社して1年も経たずに過労で自殺に追い込まれたという事件が話題になっています。
僕はテレビを視聴する習慣がまったく無いので確認はしていませんが、電通の圧力によってテレビ番組では全くと言っていいほど上記の件について報道されていないらしいです。所詮オワコンのテレビですからね、こんなもんでしょう。
しかし、悲しさも薄れるほどに「過労自殺」の事件が増えてきていると感じるのは僕だけでしょうか。
厚生労働省の公表した「過労死等に係る統計資料」を見ても、失業者の急増した1998年度から現在まで、日本における労働者の自殺数は異常であることが分かります。
実際に過労を強いている管理職の方々や、どこぞの教授のように「月の残業時間が105時間なんて生ぬるい、俺はもっと働いてるぜ(キリッ)」という方々も、この事件をどう受け止めているのでしょうか。
就職人気企業ランキングで2年連続の1位を獲得した電通でこの有様ですから、他の企業にとっても他人事ではないでしょう。
おそらくですが、ほとんどの企業は何の気にも留めてないというのが実情でしょう。
今回の事件を受け、人事部から「労働時間ちゃんと守れよ」という通達がなされると思いますが、大抵の現場では「じゃあ実労働時間を少なく見せよう」と対策を練るのが当たり前になっています。
もはや「過労自殺」は日本のお国芸となっていますし、そんな社会を作り上げているのも国民ひとりひとりでしょう。
そんな日本社会の圧力による「過労自殺」から逃れるためにはどうすればよいのか。人間のたった一度の人生を台無しにしない為にも、この問題には真摯に向き合うべきです。
人間を追い詰めるのは人間
結局のところ、人間を「過労自殺」に追い込んでいるのは管理職や上司といった同じ人間なんです。
誰かが残業を強いなければ、定時ピッタリに退勤して美味しい食事にありつけ、趣味を楽しんだ後にグッスリ寝るという人間として当然の生活を送れるのです。
言い換えれば「残業を強要する上司」というのは他人の時間を食い荒らしている恐竜のような存在なのです。もう平成ですので、いいかげん絶滅しましょう。
もしこの記事を読んでいるアナタが恐竜なのであれば、時間という概念についてよく考え直して下さい。時間は誰にでも平等です。その貴重な時間をアナタは当然のように奪っていませんか?
このように人間が人間へ圧力をかけている構図を辿ると、社員を自殺に追い込む人間はイジメとやっていることが変わらないようにも見えます。
日本社会の圧力から身を引く
「過労自殺」から自分の身を守るには2つの方法があります。
1.知識を得る
ここでいう知識とは「労働基準法」を指します。
そもそも労働基準法では1日8時間、週に40時間を超える労働が原則認められていません。この法律を知らない労働者が多い、あまりにも多いのです。
ですが、実際には1日8時間または週に40時間を超える労働をしている労働者が大半でしょう。これにはちゃんとした理由があります。
企業が「36協定(サブロク協定)」を締結している場合、労働者は残業命令に従わなければなりません。「うわ、マジかよ」と思う方もいると思いますが、既に締結していた場合は運命だと思って諦めましょう。
ただし、36協定を締結しているからといって、労働者に何時間も残業させていいわけではありません。
36協定で許可される残業時間は原則として月に45時間となり、45時間を超えて残業させると違法行為に該当する可能性があります。
今回の電通の報告では月105時間の残業時間が認められたので、重い罰則が下ってもおかしくないのです。
と、このように労働基準法を知るだけでも自分の立場を守れるので、特に労働時間に関する取り決めは目を通しておくのをオススメします。
2.「断る力」を身に付ける
厚切りジェイソンさん、出番ですよ。
多くの日本人はキッパリ断ることを美としません。断ることで「相手を傷つけてしまう」「相手に申し訳ない」という気持ちが芽生えてしまうからです。
ですが、ビジネスにおいてキッパリと「断る力」を身に付けなければ、タスクの優先順位が付けられなくなり、結果的にリソース不足になるといった悪循環に陥ります。特に生真面目な人は、他人から頼まれた業務をぽんぽんと受けてしまいがちです。
まずは自分に関係の無い業務を振られたときに「やりません」と言ってみましょう。躊躇することはないです。
よく「クッション言葉」といった回りくどい断り方などを特集した記事や本を見かけますが、そんなものは覚える必要ありません。覚える時間と発する時間が無駄になります。
いちど自分の中で断れるラインを作ってしまえば、自分にとって本当に必要なタスクにリソースを注ぐことが出来るようになります。
結果として仕事の効率が良くなり、残業する時間も無くなることでしょう。
さいごに
当然のように労働時間違反が蔓延している日本社会ですから、自分の身を守るのは自分自身と強い意志を持って労働と向かい合うのが一番の対策です。
あまりにも現在の職場に付いていけないようであれば、転職するのもひとつの手段です。転職は「逃げ」でなく「キャリアアップの手段」と捉えて行動してみるといいですよ。